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<スピンオフ> 第2章 京極正人 16

last update 최신 업데이트: 2025-08-10 12:23:46

 マンションを出て、京極はあたりをキョロキョロと見渡したが、とっくに飯塚の姿は見えなくなっていた。

「一体、どこへ行ったのだろう? でも……まあいい。俺にはこれがあるからな」

京極はポケットからスマホを取り出し、画面を見つめた。そこには地図と、飯塚の居場所を示すアイコンが動いている。

「向こうか……」

京極は呟くと、飯塚がいる方向へと歩き始めた――

 その頃、飯塚は勇に呼び出されて東京拘置所の正門に来ていた。

(な、何なのよ……よりにもよってこんな場所に私を呼び出すなんて……!)

飯塚の心臓は今にも飛び出してしまいそうなほど、ドキドキと早鐘を打っていた。

(恐らくあの男は私が服役していた事実を知っているんだ。だからわざわざ私をこんな場所に呼び出して……! 絶対ばらしたのは臼井さんに決まってる!)

飯塚はショルダーバックをギュッと握りしめ……口を閉じて俯いていた。すると……。

「やあ、やっぱり来てくれたんだね~」

軽薄そうな男の声が聞こえ、飯塚は顔を上げた。するとニヤニヤと笑みをたたえた勇が目の前に立っていたのだ。

「随分早く来てくれたんだね~嬉しいよ。君もそれほど早く俺に会いたかったってことかな?」

勇が嬉しそうに言うが、飯塚は嫌悪感で一杯だった。

(誰が……あんたみたいな男に早く会いたいと思うのよ!)

飯塚は返事をしないでいると勇が言った。

「あれ~何で何も答えてくれないのかなぁ……でも、まぁいいか。どうだい? あの建物を見て懐かしいとは思わないかい?」

勇は背後にある東京拘置所を指さした。

「!」

それを聞いた飯塚の肩が思わずびくりと跳ねてしまった。

(やっぱり……知っていたんだ……!)

「どういうつもりなんですか……?」

飯塚は俯きながら尋ねた。

「え? 何? どういうつもりって?」

何処までもとぼけた言い方をする勇。

「どうしてですか……? 折角罪を償って、うんと反省して出所してきたのに……まじめに働いて人生をやり直そうと考えていたのにどうして……っ!」

飯塚は悔し気に声を荒げた。

「う~ん。別に大した理由は無いけど君の外見…滅茶苦茶俺の好みのタイプなんだよね。だから時々2人きりで会って俺の相手をしてくれればいいのさ? 簡単なことだろう? そうすれば俺も余計な話はしないし、君は秘密をばらされることは無い。どうだ? 別に悪い話じゃないだろう?」

「そ、そ
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  • 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした   <スピンオフ> 第2章 京極正人 16

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     京極はリビングで仕事をしながら、飯塚が送ってくれた契約書のひな型に目を通していた。(さすがは元秘書だけある……。とても良い出来だな)京極は飯塚を自分の秘書にして良かったと、とても満足していた。語学が堪能な飯塚はベトナム支社との直接の電話のやり取りも難なくこなしたし、英文で届いた書類も難なく読めた。おかげで以前よりも仕事が大分スムーズに進むようになれたし、生活面もとても快適になっていた。掃除や洗濯も手際良くこなし、料理もとても上手だった。最初の1週間だけはミールセットを利用したものの、今では1日3度の食事は全て飯塚の手作りだった。献立バランスも良く、味も絶品だった。(静香も料理が上手だったが……飯塚さんも料理が上手だな)飯塚はまさに完璧な女性だったのだ。ただ、ある1点を除いては―― それは飯塚の京極に接する時の態度だった。飯塚はいつも京極に対しては1枚の大きな壁を作っているようだった。気難し気な顔ばかりで、愛想笑いもしない。話し方もいつもギスギスしており、常に京極に対して警戒心をあらわにしていたのだ。だから京極にはある欲求が生まれ始めていた。……何とかして飯塚の笑顔を見て見たいと――「あの……京極さん……」おもむろに話しかけられた京極は驚いて声のする方をみると、そこには飯塚が立っていた。「ああ、飯塚さん。今契約書のひな型をチェックしました。完璧ですよ。これをこのまま起用したいと思います。ご苦労様でした」京極は笑顔を向けた。「は、はあ……ありがとうございます……」飯塚は心ここにあらずと言った感じで返事をする。そんな飯塚を見て普段と様子が違うことに気付いた京極は声を掛かけた。「飯塚さん? どうかしましたか?」「い、いえ……あの……」飯塚は歯切れ悪く、壁に掛けてある時計を見た。「あ、あの……か、買い物に行ってきてもいいでしょうか……?」飯塚の声には緊張が混じっている。「買い物……ですか?」「え、ええ……食料品をちょっと買いに」京極も時間をチラリと確認しながら尋ねた。今の時間は午後2時。飯塚はいつも午後4時ごろに食料品の買い出しに行っている。「珍しいですね。普段はこんな時間に買い物に等行かないのに」京極はじっと飯塚を見た。「え、ええ。今日はちょっといつもとは違うスーパーに行ってみようかと思って……」言いながらも飯塚はチ

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     それは臼井と勇に出会って1週間程経過した日のことだった。飯塚は自室のデスクに座り、PCで京極に頼まれていた契約書のひな型を作成していた。静かな部屋に飯塚のPCのキーボードを叩く音だけが聞こえている。カタカタカタ……飯塚は手を止め、画面をじっと見つめて何度も誤字脱字や文章の言い回しにおかしな箇所は無いかを何度も確認した。「よし、こんなものかしら?」1人で呟くと、メール画面を開いて京極のアドレスを表示させるとメールを打ち、パスワードを掛けて添付ファイルを送った。「ふう……」一息つくと、飯塚はあらかじめマグボトルに作っておいたホットコーヒーを一口飲んだ。「もう京極さんはメールチェックしてくれているかしら……」飯塚はポツリと呟き、さらにコーヒーを飲んだ。今現在、飯塚は正式に給料をもらって京極の秘書として仕事をしている。毎日の家事仕事から、京極の会社の秘書業務を日々こなし、充実した毎日を送っていた。京極は相変わらず自室を使わずにリビングで仕事をしている。このマンションは約20畳のLDKになっており、広々としている。なので飯塚も本来ならリビングで仕事をしてもいい程であった。そうすれば、同じマンションにいるのにわざわざメールで業務のやり取りをする必要などないのだが……飯塚が嫌だったのだ。(冗談じゃないわ……。ただでさえ、1日中2人きりでこのマンションで息が詰まるって言うのに、この上じ空間で仕事をするなんて耐えられないわ……!)飯塚は京極から月々25万円の給料を提示されて貰っている。最初はひと月30万円もの給料を提示されたのだ。京極曰く、家政婦の仕事以外に会社の秘書業務もしてもらっているので当然の報酬額だと言われたのだが、家賃に光熱費。それどころか食費迄全て京極が出してくれているので、いくら何でもそれでは貰い過ぎだと飯塚は必死で拒絶し、手取り25万円で手を打つことになったのだ。(でもそれでも貰い過ぎなんだけどね……)もともと飯塚は男性にばかり媚びを売る女と陰口をたたかれ、女性受けは良くなく、同性の友達は数えるほどしかいなかった。そのうえ飯塚が傷害事件を起こしてしまってからはまるきり連絡が途絶えてしまった。それどころか両親や親族にまで身元引受人を拒まれてしまったのだ。恋人だって当然いないので出かける機会もほとんど無い。お金を使う事も無くなってし

  • 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした   第2章 京極正人 13

     しかし飯塚の願いもむなしく、臼井と一緒にいた男性が飯塚に興味を示した。「へえ~君、咲良ちゃんて言うんだ。可愛い名前だね。君にぴったりだ」男は嘗め回すような視線で飯塚をジロジロと見つめる。「ちょ、ちょっと……何してるの? 勇さん」臼井は男の名を呼ぶ。一方の飯塚は男のぶしつけな視線が嫌でたまらなかった。服役する前の飯塚なら男が自分を見つめて来る視線を心地よいと感じていたかもしてないが、3年間刑に服した今の飯塚は、たとえそれが子供の視線だろうと人の視線が嫌でたまらなくなっていたのだ。「あの……私、それじゃ帰ります」臼井と勇という男に背を向けて立ち去ろうとすると、突然勇が声をかけてきた。「ねえ、咲良ちゃん」その言葉に飯塚はピタリと足を止めると振り向いた。「……人前で名前を呼ぶの、やめていただけますか?」「そう? 名前呼ばれるの嫌なんだ? それよりさ、ちょっと3人でお茶でも飲んでいこうよ」どうやら勇は飯塚にすっかり興味をもってしまったようだ。「いいえ、結構です」はっきり断ると臼井も会話に加わってきた。「そうよ、飯塚さんは用事があるんだから。大体今日はこれから映画を観に行くんでしょう? ほら、チケットだって用意してあるのよ?」臼井のその様子に飯塚はぴんときた。恐らく入れ込んでいるのは臼井の方で、男はさほど彼女に対しては興味を持っていない……と言うか、そもそも付き合っているという感覚すら持ち合わせていないのではないだろうかと。すると案の定、勇は言った。「映画に行きたければお前1人で行ってくればいいだろう? 俺は咲良ちゃんの方が興味ある」そして飯塚をじっと見つめる。「な? 30分でいいからさ? 一緒にコーヒー飲もうよ。それだけでいいからさ」すると臼井も説得してきた。「ええ、そうね。30分だけ一緒にコーヒーを飲みましょう? 奢ってあげるからっ! 勿論……断るはずないわよね?」その目は飯塚にとってはこう語っているように見えた。もし言うことを聞かなければ、刑務所に入っていたことをばらしてやる……と。(駄目だ……きっと断れば臼井さんは私が元受刑者だったってことをばらすかもしれな!)「わ、分かりました。30分だけ……なら……」飯塚は観念するしかなかった――****――10分後飯塚は半ば無理やりカフェに連れてこられていた。3人で丸テ

  • 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした   第2章 京極正人 12

    「あ、あの……つまり専属秘書というのは?」飯塚はただの家政婦でいるのは嫌だった。すると京極はまるで飯塚の気持ちを汲んでいるかのように言う。「ええ、その名の通り家事以外にも僕の仕事の手伝いをお願いしたいと思っています。実は今僕が新しく作ったIT企業はベトナムで立ち上げたんですよ。本社は今のところベトナムですが、僕は日本に戻ってきたのでこちらで日本の企業を立ち上げて本社にしたうえでベトナムは支社に変更しようと思っていたところです。今現在日本に社員がいないので近々求人を募集しようかと思っていたんです。飯塚さんは日本の社員1人目ということでいかかでしょうか?」「私が……京極さんの企業の日本での初めての社員……?」それは夢のような提案だった。京極から直々の雇用なら履歴書も必要無い。何より当然自分の前科を知っている。そのうえでの採用であり、衣食住も提供してくれるなど、これほど恵まれたことは無い。だが……。「いいんですか? 本当に私みたいな前科者を雇って」すると突然京極が飯塚の両肩に手を置いてきた。「飯塚さん……」京極は今まで一度も聞いたことの無い低い声で飯塚の名を呼んだ。「な、何ですか……?」飯塚は京極の突然の態度に驚き、声を震わせ……その時、初めて京極の険しい表情を見た。しかし、その目はどこか悲し気にも見えた。(な、何て顔で私のこと見るのよ……!)すると強い口調で京極が言った。「飯塚さん、いいですか? もうむやみやたらに自分のことを前科者だとか卑下するような言い方はしないで下さい! 貴女は刑期を全うしたのです。普通の人たちと何ら変わりありません。もっと……自分に自信を持って、堂々と振舞っていればいいんです!」「わ、わかりました……」あまりにも今迄とは態度が豹変した京極を見て、飯塚は焦ったがそれでもこれでようやく自分は一社会人として、仕事を持てたのだと言うことを改めて実感するのだった。「では、飯塚さん。早速僕と雇用契約を結びましょう。今日中に僕が契約書の書類を作ります。出来上がったら飯塚さんに確認して貰って問題が無ければ雇用契約を結ぶことにしましょう」「はい、宜しくお願いします」飯塚は頭を下げた。そしてその後、2人は出来上がったカレーを食べ……飯塚が片づけをしている間に京極は契約書を作成し、その後2人で見直し、この日2人は社長と専属秘書と

  • 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした   <スピンオフ> 第2章 京極正人 11

     あれからどれくらい経過したのだろうか……。すっかり仕事を探す意欲を失ってしまった飯塚はふてくされた気分でベッドにゴロリと横になり、そのまま眠ってしまっていたのだ。そして突然外で1時報の音が響き渡り、おもむろに目が覚めた。「え? 嘘!? 私……寝ちゃってたの!?慌てて飛び起き、部屋の壁掛け時計を見ると時刻は16時を過ぎていた。「た……大変!」慌ててリビングへ行くと、未だにソファに座って仕事をしている京極の姿があった。「きょ、京極さん!」すると顔を上げて京極が飯塚を見つめた。「飯塚さん? どうしましたか?」「す、すみません! 私……うっかり眠ってしまって……食事の準備を……」慌てる飯塚に京極は笑みを浮かべた。「眠ってしまったと言ってもまだ16時ですよ? これから食事の準備をしても余裕で19時には終わるでしょうし……それに……」「それに……?」「僕は食事が何時になっても構いませんから気にしないで下さい」「は、はい。でもすぐに準備始めますね」飯塚はキッチンへ行くと冷蔵庫を開けて食材を取り出した。今夜のメニューとして届けられたのはタンドリーチキンカレーとサラダだった。お米も別に2合セットでついていた。しかもお米は無洗米と、どこまでも親切になっている。早速、お米を炊飯器に入れて水をセットすると飯塚は料理を始めた。しかし、料理と言っても肉も野菜も全てカット済みで、料理が好きな飯塚にとっては少々物足りないものだった。あっという間に準備を終え、鍋に火をかけるとすぐに飯塚はやることが無くなってしまった。(本当に京極さんは料理が出来ない人なのね。それとも私に気を遣って簡単に調理できるミールセットを選んだのかしら?)特にすることも無く、飯塚はキッチンからぼ~っと京極の仕事ぶりを見ていた。京極は真剣な表情でPC画面を見ながら、キーボードを叩き、時折電話が鳴っては応対している。(フン……忙しそうで何よりだわね。それなのに私は……)自分だって犯罪を起こすまでは、あの「鳴海総合商社」の本社。しかも秘書課に所属し、仕事をバリバリにこなすキャリアウーマンだったはずなのに……今は自分の犯罪履歴があるせいで飯塚はバイトにすら応募することに躊躇していた。(ネットで自分の名前を検索して出て来なければこんな惨めな思いはしなくて済んだのに……!)悔しさで下唇を噛ん

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